2023年5月31日水曜日

自分の姿勢

物理学者で随筆家でもあった寺田虎彦先生の随想の中で興味ある一文を見かけたので紹介します。

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- ネコが用を足そうと、庭に穴を掘っている。

一度掘ってしゃがむが、どうも具合が悪いらしく、また別のところに行って穴を掘って、シリを落とす。

しかしまだ、どうも具合が悪いらしい。

そこで、また別の個所を探して掘る・・・・

ネコはバカだから、穴の位置や穴の掘り方が悪いのではなく、自分の姿勢が悪いということに気づかないらしい -


人間にも、これと似たようなことがある。

どうも居心地が悪い。

やろうとすることがなんとなくうまくいかない。

勝手が違ったような感じがする。


しかし、よく考えてみれば、たいていの場合、これは環境や周囲の状態が悪いのではなく、当人の姿勢が悪いのである。

まちがっているのは、当人の姿勢なのである。

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この随想を読んで、自分のことを考えてみました。

社会生活をする中でうまく物事がいかないことは多々あります。

その時に、「これは自分に合っていない」、「周りのせいでうまくいかない」といった風に思いがちになることがあります。

これは自分で解決できないことではなく、考え方を改めると解決法が見つかるのではないかと思います。


「自分に合っていない」のではなく、自分が望んでいることが間違っていたり、もう少し我慢して続けるという姿勢が持てないからうまく行かないのではないか。

「周りのせいでうまくいかない」のではなく、自分でできることはまだあり、自分の行動から周りがそのようになっているのでないかといった見方です。


自分の思い通りにいかない場面にぶつかったとき、まずは自分の姿勢を見直してみる.

ここから色々な道が開けてくるのではないかと思います。


2023/5/31






2023年5月26日金曜日

VARKモデル

私たちの会社の理念は「人を育て社会に貢献する」です。

学ぶということは私たちが小、中、高校と経験し、社会に出てもいつも身近にあるものです。

それだけ身近にあるものですが、その方法論を学ぶ機会は少なく、学ぼうとしている人へ「教える」という手法も得る機会は少ないです。

人を相手に行う行為は、一律にこの方法でやればという決まった方法ではなかなかうまくいかず、相手に合わせて柔軟に行っていかないとうまく行きません。

ただ、骨子となる考え方・手法は世の中にいくつかあり、今回はその一つ「VARKモデル」について書いてみます。


「VARKモデル」とは、ニュージーランドのニール・フレミング氏が提唱したラーニング・スタイルです。

人は学びを行うときにその学び方に得意・不得意があるとしています。

自分に合った学び方を知ることでより効率的に知識を得ることができ、また学びを指導する側は、どのように指導すれば相手がうまく学びを得て行けるかを知ることができます。


VARKモデルは、ラーニング・スタイルを4つに分けています。

V,Visual Learners(視覚による学習)

 図やイラスト、色などを使って視覚的に学ぶのが得意。

 見て学習するので、一度に多くの情報を取り込み、記憶することができる。

 文章を図やイラストにしたり、内容を色分けすることで理解が進みやすい。


A,Auditory Learners(聴覚による学習者)

 音や言葉を聞いたり、注意深く耳を傾けて学ぶことが得意。

 音や言葉には、外部からの情報だけでなく、自分自身で発進したものも含まれる。

 自ら進んで質問に答えたり、ディスカッションに積極的に参加する傾向にある。

 聞いたり、話すことで理解が進みやすい。


R,Reading/Writing Learners(読み書きによる学習者)

 文章を読んだり、書いたりして学ぶのが得意。

 言葉によるインプットが片方の耳に入り、もう片方の耳に入らないことがよくあるため、紙面やスライドに書かれた文字を見ることや自分でメモを取ることで理解が進みやすい。


K, Kinesthetic Learners(運動感覚による学習者)

 実際に動いたり、やってみることで学ぶのが得意。

 他のラーニング・スタイルと比べて、ソワソワしたり、手を動かして話す傾向がある。

 体を動かしながら情報を得たり、デモンストレーションをすることで理解が進みやすい。


「人を育てる」ということに、この4つのラーニング・スタイルをうまく活用して、自分の知識の向上や、相手を指導するときの指導法に活かしていければと思います。


2023/5/25


2023年5月17日水曜日

天分を生かしきる

最近、月刊誌PHPを読むようになり、今回は2月号に掲載された「天分を生かしきる」について共感を得ましたので書いてみます。

その記事は、松下幸之助さんが書かれた「人間としての成功」より抜粋されたものです。


天分を生かしきる

人にはおのおの異なった天分、特質が与えられています。

みなそれぞれに異なった使命が与えられ、異なった才能が備えられていると思うのです。

私は、成功というのは、この自分に与えられた天分を、そのまま完全に生かしきることではないかと思います。

それが人間として正しい生き方であり、自分も満足すると同時に働きの成果も高まって、周囲の人びとをも喜ばすことになるのではないか。

この人間としての成功こそが、真の意味の成功ではないかと考えるのです。


この様に書かれていました。


この文章に続き、下記のような実際の出来事も掲載されていました。


松下電器のある営業所の所長が病気で入院したときのことです。

夜間の暗い時間帯にも、看護師が懐中電灯を片手に持ちながら、いろいろな処置をしてくれました。

同室の患者のことを考えて、部屋の照明はつけなかったのでしょう。

所長は、看護師が両手を使えないのは不便ではないかと思い、乾電池事業部門の責任者に、手で持たずに使える電灯はあるのか問い合わせます。

見舞いに来た責任者は、胸のポケットに差す万年筆型ライトがあると、所長に渡しました。

所長はそれを看護師に使ってもらい、意見を聞き、製品の改良に取り組み、2か月かけてポケットに差しても光の方向が安定する商品の案を完成します。

その一方で、所長の病状は悪化を続け、会社が商品化を決定したときには面会謝絶の状態にありました。

家族を通じて商品化を知り喜んだものの、その一か月後にガンのため58歳で亡くなります。

発売した「フレキシブルライト」は生産が追いつかないほど評判を呼びました。

この話を聞いた松下幸之助は目頭を熱くすると同時に、「”人生を生き切る”とはこうゆう生き方ではないか」と考えます。

最後まで営業所員としての使命に立ち、商品化によって多くの人々に貢献した所長は、みずからに与えられた天分を生かしきった”真の成功者”だといえるでしょう。


松下幸之助は、自分もそんな生き方でありたいと、当時80代ながら使命実現への意欲がますます高まったといいます。

日々私たちも、「自分の使命は何か、天分を生かしているか」と自分に問いかけたいものです。


と括っています。

私も「天分を生かしきる」という言葉を思いこれからの人生を歩んでいこうと思います。


2023/5/17


2023年5月10日水曜日

ペップトーク 2

 今回は前回に続き「ペップトーク」について書きます。


経営者研修でペップトークについて学んだ中で、松下幸之助さんが行った具体的な事例を挙げていましたので書いてみます。


・幸せだよ君は

 ー 部下の不安を予見した幸之助の意外な解説 ー

 東京営業所の課長が九州の営業所へ所長として転勤の内示が出たときの話です。

 九州の営業所は競争が激しく業績は極めてきびしい状態でした。

 課長にとって、九州は見知らぬ土地でもありました。


 課長に松下幸之助さんはこう言葉をかけたそうです。

 「君のいく九州はね、実はいま状況が悪いんだ。昔はものすごくよかったんだが、いまはいうなれば最低の線だ」

 「・・・・・・・・・」

 「ということはだね、君がこれから行って何かをすれば、そうした分だけ必ず業績が上がるということだ。もうこれ以上悪くはなりようがないんだから。一所懸命やっても業績が上がらんというところもある。しかしね、君がやればやるだけ業績が上がるというのは、君、いいところへ行くね。幸せだよ、君は」


これは「常に俯瞰的な視点に立って、現状とは別の見方をする」という行動です。

松下幸之助さんの「最悪だからこそ、君が何かしたら必ず良くなる!」という声掛けで、課長に「事実の捉え方が変わり、心に余裕ができた!」という課長の心の変化を促した事例でした。


・君ならできる

 ー 日常の関係がものを言う一言 ー

 松下幸之助さんが若い技術者を呼んで言いました。

 「いまアイロンが売られているが、使ってみると非常に便利だ。しかし価格が高く、多くの人に使ってもらうことができない。できるだけ安いアイロンを作り、誰でも使えるようにしたい。それを松下電器でぜひやり遂げたいのだがどうだろうか」

 若い技術者はその熱意に感激し、同意したそうです。

 そこで松下幸之助さんは命じました。

 「君ひとつ、このアイロンの開発を、ぜひ担当してくれたまえ」

 ところが若い技術者は、金属加工の経験しかなく、アイロンなど電熱関係には素人だったので、当然辞退したそうです。

 「これは私一人ではとても無理です」

 それに対する松下幸之助さんの言葉は、力強く誠意に満ちて、

 「いや、できるよ。君だったら必ずできる」

 その一言で若い技術者の心は動き、何だかできるような気がしてきたそうです。

 「こうゆう意義のある仕事です。及ばずながら精一杯やらせていただきます」

 低価格で、便利なナショナルスーパーアイロンができあがったのは、それからわずか三ヶ月後であったそうです。


これは「常に人間性を見極め、全幅の信頼を承認する」という行動です。


このように、松下幸之助さんはペップトークを自然と行っていたそうです。


2023/5/10