今回は前回に続き「ペップトーク」について書きます。
経営者研修でペップトークについて学んだ中で、松下幸之助さんが行った具体的な事例を挙げていましたので書いてみます。
・幸せだよ君は
ー 部下の不安を予見した幸之助の意外な解説 ー
東京営業所の課長が九州の営業所へ所長として転勤の内示が出たときの話です。
九州の営業所は競争が激しく業績は極めてきびしい状態でした。
課長にとって、九州は見知らぬ土地でもありました。
課長に松下幸之助さんはこう言葉をかけたそうです。
「君のいく九州はね、実はいま状況が悪いんだ。昔はものすごくよかったんだが、いまはいうなれば最低の線だ」
「・・・・・・・・・」
「ということはだね、君がこれから行って何かをすれば、そうした分だけ必ず業績が上がるということだ。もうこれ以上悪くはなりようがないんだから。一所懸命やっても業績が上がらんというところもある。しかしね、君がやればやるだけ業績が上がるというのは、君、いいところへ行くね。幸せだよ、君は」
これは「常に俯瞰的な視点に立って、現状とは別の見方をする」という行動です。
松下幸之助さんの「最悪だからこそ、君が何かしたら必ず良くなる!」という声掛けで、課長に「事実の捉え方が変わり、心に余裕ができた!」という課長の心の変化を促した事例でした。
・君ならできる
ー 日常の関係がものを言う一言 ー
松下幸之助さんが若い技術者を呼んで言いました。
「いまアイロンが売られているが、使ってみると非常に便利だ。しかし価格が高く、多くの人に使ってもらうことができない。できるだけ安いアイロンを作り、誰でも使えるようにしたい。それを松下電器でぜひやり遂げたいのだがどうだろうか」
若い技術者はその熱意に感激し、同意したそうです。
そこで松下幸之助さんは命じました。
「君ひとつ、このアイロンの開発を、ぜひ担当してくれたまえ」
ところが若い技術者は、金属加工の経験しかなく、アイロンなど電熱関係には素人だったので、当然辞退したそうです。
「これは私一人ではとても無理です」
それに対する松下幸之助さんの言葉は、力強く誠意に満ちて、
「いや、できるよ。君だったら必ずできる」
その一言で若い技術者の心は動き、何だかできるような気がしてきたそうです。
「こうゆう意義のある仕事です。及ばずながら精一杯やらせていただきます」
低価格で、便利なナショナルスーパーアイロンができあがったのは、それからわずか三ヶ月後であったそうです。
これは「常に人間性を見極め、全幅の信頼を承認する」という行動です。
このように、松下幸之助さんはペップトークを自然と行っていたそうです。
2023/5/10
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