今回は「クランボルツ理論」について書いてみます。
クランボルツ理論とは「計画的偶発性理論」のことで、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱された理論です。
この理論が最近注目されているのは、この理論によると個人のキャリアの8割は偶然の出来事によって決定されるとしている事です。
クランボルツ教授がビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割が本人の予想しない偶然の出来事によるものだったそうです。
ただ、この理論は自分でキャリアプランを描いたり、キャリアアップのための努力をする事が無駄と言っているのではありません。
偶発性というものに注意をおいて普段を過ごすという事を言っています。
急速に経済のグローバル化が進む中、未来に何が起こるのか予想することは難しくなっています。
社会や企業の状況は個人の意思でコントロールできるものではなく、キャリアに関しても外的な要因で計画したとおりに行かないことも珍しくありません。
その様な時代背景の中で、「何をしたいかという目的意識に固執すると、目の前に訪れた想定外のチャンスを見逃しかねない」とクランボルツ教授は指摘しています。
これまでのキャリアプランの立て方とは異なる、ゴールに固執するのではなく、現在に焦点を置いてキャリアを考える計画的偶発性理論が注目されているそうです。
計画的偶発性理論は、次の3つを骨子として成り立っています。
<計画的偶発性理論の骨子>
1,予期せぬ出来事がキャリアを左右する
2,偶然の出来事が起きたとき、行動や努力で新たなキャリアにつながる
3,何か起きるのを待つのではなく、意図的に行動することでチャンスが増える
計画的偶発性理論によると、個人のキャリアの8割は偶然から作られます。
しかし、ただそれが起きることを待っているだけではキャリアは広がらず、予期せぬ出来事が起きた時に行動できるだけの準備をしたり、偶然の出来事に遭遇すべくフレキシブルに行動したりすることで、チャンスが生まれるとしています。
具体的には、以下の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすいと言われています。
<計画的偶発性を起こす行動特性>
1,好奇心:新しいことに興味を持ち続ける
2,持続性:失敗してもあきらめずに努力する
3,楽観性:何事もポジティブに考える
4,柔軟性:こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
5,冒険心:結果がわからなくても挑戦する
起きた出来事や周囲の変化を意識し、出来事を前向きに捉えることがチャンスへとつながるとしています。
偶然の出来事や出会いを必然へと変えるために最も大切なことは、あらゆる出来事に関心を持つことです。
偶然の出来事は、起きた時点ではどのような結果をもたらすのかわかりませんが、未来が予想できないほど変化の激しい時代において、何かに固執するよりも挑戦してみることが重要です。
計画的偶発性理論は、ただ待っているだけで良いというキャリア理論ではありません。
偶然という形で舞い込むチャンスを確実なものとするために、自分自身の行動を変えて行きましょう。
2023/8/3
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